〜この療法に携わるきっかけとなった私の家族のお話です〜
私たち夫婦も、約2年半の間、子どもを授かれずに悩み、病院での不妊治療と並行して自然療法(整体)に通っていました。
妻の場合、背骨に歪みがあり、周囲の筋肉も硬くなっていたことで神経が圧迫され、自律神経のバランスが乱れていたことが、なかなか妊娠につながらない大きな原因でした。
月に2回のペースで通い続け、1年半ほど経った頃、長い間抜けなかった背中の硬さが少しずつやわらいでいきました。(背中の関節には、長年の癒着が起きていたのです。)
関節の癒着が解消されることで、神経の圧迫が取れ、自律神経の働きがスムーズになっていきました。
自律神経が整うことで、ホルモンバランスや内臓の働きも回復し、臓器が本来の機能を取り戻すことで、受精や着床がしやすい身体へと変わっていきます。
整体の先生からは「そろそろ自然妊娠できると思うよ」と声をかけていただいていましたが、年齢的な焦りもあり、私たちは体外受精に踏み切りました。
日々セルフケアも欠かさず続けていたこともあり、1回の体外受精で無事に妊娠することができました。
採卵から妊娠まで非常に順調で、病院の先生からも「年齢のわりにとても順調ですね」と褒めていただいたのを、今でも鮮明に覚えています。
突然の入院と手術 〜子宮頸管無力症〜
妊娠6ヶ月の定期検診の日、突然「子宮口が開いて胎児が出そうです」と言われ、そのまま緊急入院・即手術となりました。
子宮頸管無力症は、症状に気づきにくく、それまで何の自覚症状もなかったため、妻も私もパニックでした。
手術は無事終わりましたが、発見が遅く、胎児が子宮口から3cmの位置まで下がっていたため、縫合は不完全な状態に…。
その日から、出産後までの約3ヶ月、妻は入院生活を送ることになりました。
もし検診が1週間遅ければ流産していた可能性もあると言われ、今でもあの瞬間を思い出すと胸が締め付けられます。
逆子、そして27週目での出産 〜体重997gの小さな命〜
手術後の生活は、妻にとってまさに壮絶なものでした。
胎児の位置は手術によって子宮口から約5cmほど押し戻されましたが、縫合された箇所がいつ外れてもおかしくない非常に危険な状態でした。
お腹に負担をかけないように、何をするにも普段の3倍ほどの時間をかけてゆっくりと動く日々が続きました。
そんな中、今度は赤ちゃんが「逆子」になってしまったのです。
慣れない入院生活、制限の多い生活、そして精神的な不安。
心身ともに大きなストレスがかかっていたことは間違いありません。
ストレスがかかることで交感神経が過剰に優位になり、子宮の収縮や子宮周辺の血流の悪化を引き起こします。
また、子宮が緊張すると、赤ちゃんが自由に動けるスペースが狭まり、逆子の原因となってしまうことがあります。
そして妊娠27週目、逆子の足が子宮口に入ってしまい、医師からは「破水したらすぐに手術を行う」と告げられました。
翌日、職場にいた私のもとに一本の電話が入りました。
「破水しました」という知らせに、胸が締めつけられるような思いで病院へ駆けつけましたが、着いた時にはすでに出産が終わっていました。
入院していた部屋には妻も赤ちゃんの姿もなく、何かあったのかと恐ろしく不安に駆られましたが、妻は手術後別の部屋で安静にしていて、産まれた子供は未熟児の為、NICUでしばらく入院するという事でした。
それでも、妻も子も命が助かったと分かった瞬間、心の底からほっとしました。
翌日、安静が解けた妻と一緒に初めて娘に会いに行きました。
全身を伸ばしても、手のひらにおさまるほどの小さな身体。
体重はわずか997g。
それでも、懸命に呼吸をしている姿を見た瞬間、「この小さな命を必ず守っていこう」と心に誓いました。
足への血流障害を“母の手”で
約3ヶ月のNICU・GCUでの入院を経て、娘は体重3500gを超え、無事に退院できました。
ある日妻の友人が遊びにきた時、「赤ちゃんなのに足が冷たいね。普通もっと赤ちゃんの足は温かいと思うよ」と言われました。
確かに娘の足は他の赤ちゃんと比べると冷たく、足先の色も紫がかった色をしていました。
気になったので整体の先生に見ていただくと「股関節が硬く、下半身の血流が悪くなっているからだよ」と教えて頂きました。
それから教えて頂いたマッサージを毎日続けてみると、段々と足に温かみが出てきて気がつけば足の色も正常に戻っていました。
やり始めはマッサージをしていると股関節が硬くて開きの悪さを感じましたが、それも次第に柔らかくなり股関節の動きも良くなってきました。
足の付け根には、下半身の血流の要となる太い血管が通っています。
骨盤の歪みや筋肉の緊張によってこの血管が圧迫され、血流障害が起こり、足先の冷えを起こしていたのです。
股関節の動きも悪かった為、臼蓋骨への血流も悪かったと思われます。そのまま放っておけば臼蓋形成不全になっていたかもしれません。
このとき、改めて「血流の大切さ」を身をもって実感しました。
伝える側としての今
あの経験があったからこそ、私はこの自然療法の道へ進みました。
血流の滞りが身体にどれほど影響を及ぼすのか、「自分たちの不妊治療〜出産を経て」身をもって知ったからです。
今は施術を通じて、同じように悩む方々へ「血流の大切さ」や「身体が本来持つ力」をお伝えしています。
少しでも多くの方が、今、悩んでいる症状を克服して笑顔を取り戻せるように、これからもこの想いを大切に活動を続けていきます。